当大学4年生の中で私についた学生は、卒論として
特別研究テーマ について研究している。
具体的に言うと「植物バイオについて」というのが大半だ。
そこで、今回はこの植物バイオを若干解説しようと思う。
基本的には、植物組織培養とは?をみれば判るが、大別すれば、
カルスから元の植物体を再生させる研究と、有用物質生産に
分かれる。前者の最たるモノが、サフランカルスからの雌しべ様
器官の再生だろう。いったんサフランの球根から、不定形のカルス
を誘導した後、このカルスから無数のめしべを形成させることだ。
一見不気味に見えるかもしれないが、こうやって高価な無数の
めしべを形成させると、次はこの色の薄い、形も小さい雌しべを
しっかりと着色した立派な雌しべに成長させることができる。
こうなればしめたモノ、自然の雌しべと同様の成分も含むし、
営利生産にも直結できることとなり、特許も多数取得した。
ただ、固体培地では再生することのできるこのような雌しべ様器官
だが、これを液体中で大量に増やすことには成功していない。
なかなか営利生産は難しい。もっとも、高価な無数のめしべ
というのは、実は夢で、大量のめしべが生産されれば、必然的に
安くなってしまうのが大きな欠点なのだが、、(-_-;)
以上のような形態的な組織ではなく、細胞そのものに、
有用物質を生産させる試みが、これだ。
こうすれば、細胞そのものから薬用成分を生産させることが
可能となる。大量生産によって安価になってしまう欠点も、
薬用成分の生産ということで、かなり軽減される。
次の技術は、プロトプラストといって元は多細胞のサフラン
カルスをバラバラの一個づつの細胞に酵素的にばらしてしまい、
このプロトプラストを培養しようという試みだ。こうすることに
よって、有用形質を持つトマトとポテトの双方の良い形質を持つ
植物すなわちポマトのできあがり!という訳。しかし、サフラン
プロトプラストの培養はなかなかうまくゆかない。そこで、
考案したのが、人工いくらの技術。人工いくらにサフラン
プロトプラストを包埋してしまったら、実に上手くこれが
分裂増殖してくれた。これも、多数の特許につながった
が、まだ営利生産には至っていない。しかし、こういった
基礎技術は、実業的に有用だと確信しているし、元居た
会社ではすでにやっていないが、某一部上場企業でこれらの
技術を継承してくれている。楽しみに待って居るところである。
次回は、また別の面からこういった技術開発の現状について
説明してみようと思う。乞うご期待!