今回で、第9回を終える。昨日、第21回国家試験が行われた。結果は??
192 嗜好飲料についての記述である。正しいものの組合せはどれか。
a コーヒーは、コーヒー豆を発酵させて作られる。この際、たんぱく質、炭水化物などが分解されて出来たアミノ酸、糖分が加熱時に着色物質を作る。
b チョコレートは、カカオ豆を主な原料として作られる。この時、カカオ豆の脂肪分だけを集めて利用するのがココアである。
c 茶に含まれるタンニンは、フラボノイドの一種である。タンニンが微生物で分解されると紅茶の赤色色素を作る。
d チョコレートの苦味成分の代表的なものは、テオブロミンである。このほか、環状のペプチドで苦味をもつ成分もある。
(1)aとb (2)aとd (3)bとc (4)cとd (5)a〜dのすべて
193 食品中の炭水化物についての記述である。誤っているのはどれか。
(1) 果糖はぶどう糖に比べて甘味度が高いので、ぶどう糖を用いて甘味料を作る際に、酵素でぶどう糖の約1/2量を果糖に変える方法がある。
(2) ショ糖を加水分解すると、右旋性であったものが左旋性になるので、ショ糖の加水分解を一般に転化といい、これによって得られたぶどう糖と果糖の混合物を転化糖という。
(3) でんぷん、グリコーゲン、イヌリン、セルロースはいずれも多糖類であり、イヌリン以外の構成糖はぶどう糖である。
(4) 低メトキシペクチンは、糖、有機酸の量に左右されずに、2価の金属イオン(Ca2+、Mg2+)でゲル化する性質がある。
(5) カニ・エビの殻の主成分は、D−グルコサミンを構成糖とするムコ多糖類のキチンで、エネルギーの補給源となる。
194 微生物利用食品についての記述である。誤っているのはどれか。
(1) ビール、清酒、紹興酒は穀物を利用して作られる醸造酒である。いずれも原理的には糖化を行う処理が必要となる。
(2) ブランデー、ウイスキーは醸造酒のアルコール分を高めるために蒸溜してアルコール濃度を高めた後、熟成させる。
(3) しょう油、みその製造には麹を用いるが、この麹は主に繁殖させた細菌の分泌するプロテアーゼやアミラーゼなどの酵素の働きを利用する。
(4) 果物にはグルコース、フルクトース、ショ糖などの糖分が多量に含まれる。この糖分を酵母が嫌気的に分解してアルコールを作る。
(5) 食酢はアルコールを酢酸菌の働きで酸化させて酢酸を作らせたものである。
以上、2007.3.26更新
190 牛乳についての記述である。誤っているのはどれか。
(1) 原料乳の受け入れ時にアルコール試験を行っているが、これは、牛乳のたんぱく質の安定性を判定するために行われる。
(2) 牛乳の脂質は母乳の脂質と同程度に、魚油中に多いn-3系不飽和脂肪酸であるイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸を含む。
(3) ビフィズス菌の発育促進物質をビフィズス因子といい、その1つにN−アセチルグルコサミンがあり、牛乳より母乳に多い。
(4) 牛乳はカルシウムの吸収率を高める乳糖を含んでおり、その100g中のカルシウム量は、鶏卵1個(50g)中のカルシウム量の約4倍である。
(5) 牛乳アレルギーはたんぱく質に起因し、そのアレルギー活性はβ−ラクトグロブリン>カゼイン>α−ラクトアルブミンの順である。
191 動物性食品の色についての記述である。誤っているのはどれか。
(1) 肉を加熱すると褐色に変化するのは、グロビンの変性と2価の鉄を合むヘモクロムが3価の鉄を合むヘミクロムに変化したためである。
(2) ハムやソーセージの色素は、ミオグロビンと一酸化窒素が結合したニトロソミオグロビンが加熱によって生じたニトロソミオクロモーゲンである。
(3) 魚には血合肉という赤褐色を呈する部分があり、普通肉に比ベミオグロビンや脂肪が多い。
(4) ゆで卵の黄味の表面にできる黒色物質は、硫化水素によって生成する硫化物の色である。
(5) 卵白の淡黄色は、ビタミンB群の一つであるチアミンの色である。
以上、2007.3.22更新
188 穀類についての記述である。誤っているのはどれか。
(1) 大麦にはグルテンが含まれないので、大麦粉からパンをつくることは難しい。
(2) 米でんぷん組成でアミロースが少なくアミロペクチンが多いと米飯の粘り気が強くなる。
(3) 小麦グルテンは還元されるとたんぱく質分子間に架橋ができて網目構造が増える。
(4) 米は胚乳が硬く種皮が軟らかいので搗精に適し、小麦は反対に胚乳が軟らかく種皮が硬いので製粉に適する。
(5) 色の黒いソバ粉はソバ種子の種皮が多く混入しているものである。
189 食肉の特徴についての記述である。誤っているのはどれか。
(1) 牛肉は、組織が硬く弾力があり、上質な肉は霜降りを形成する。
(2) 豚肉にはビタミンB1が多く含まれている。
(3) 羊肉は脂肪の融点が低いため、冷食に適した食肉である。
(4) 馬肉はグリコーゲンが多いため甘味があり、煮ると泡が出る。
(5) 鶏肉は死後の変化が早いので、牛豚肉のような熟成の必要はない。
以上、2007.3.20更新
186 食品中の成分についての記述である。誤っているのはどれか。
(1) ジャガイモの芽にはソラニンが多く、中毒をおこしやすい。ジャガイモの発芽防止に放射線照射が有効であるが、わが国では禁止されている。
(2) ウメの未熟果には、青酸配糖体であるアミグダリンが含まれ、これが分解すると青酸を生じ、中毒を起す。
(3) サトイモの塊茎や葉柄にはホモゲンチジン酸やシュウ酸が含まれ、えぐ味の原因となっている。
(4) ホウレンソウをゆでると、その中に含まれるシュウ酸が減少する。
(5) レンコンにはタンニンが含まれており、鉄イオンと反応するとタンニン鉄が生成し、黒色を呈してくる。
187 食品成分間反応についての記述である。誤っているのはどれか。
(1) アミノカルボニル反応による褐変は乳糖よりもショ糖の方が起こりやすい。
(2) アミノカルボニル反応によって生成する褐色色素メラノイジンは不規則な高分子重合体である。
(3) 緑葉野菜に直射日光を当てると主にクロロフィル色素による光増感酸化を起こしてビタミンCが破壊される。
(4) 褐変食品中で油脂酸化が進みにくいのは、褐色色素メラノイジンの抗酸化作用による。
(5) 肉を強く加熱して焦がすとタンパク質栄養価が低下するが、これには構成アミノ酸のラセミ化も影響している。
以上、2007.3.17更新
183 食品の色とその変化についての記述である。誤っているのはどれか。
(1) クロロフィルは植物体中ではたんぱく質と弱く結合しているので、安定であるが、加熱によって結合が切れると不安定となり、特に酸性では分解されやすい。
(2) 新鮮な緑色野菜の保蔵中にはクロロフィルは酵素の作用によって分解されるので、ブランチング処理をすると保蔵中の緑色が良く保たれる。
(3) なすの果皮の色はアントシアン系の色素で不安定であるので、漬け込む場合には鉄くぎやミョウバンを加えて金属キレートをつくらせると安定化できる。
(4) 食肉の赤色は主にその中に含まれるミオグロビンの色によるが、加熱するとたんぱく質が変性し酸化されたメトミオクロモーゲンを生じ褐色となる。
(5) エビ、カニなどの甲殻類に含まれるアスタキサンチンはたんぱく質と結合し青藍色を呈しているが、加熱すると重合して鮮紅色に変化する。
184 香辛料についての記述である。誤っているのはどれか。
(1) タカノツメに代表されるとうがらしの主な辛味成分は無色のカプサイシンである。
(2) こしょうは熱帯産のコショウ科の植物の実で、未熟な実から調製されたものが自こしょうであり、完熟した実から調製されたものが黒こしょうである。
(3) サフランはサフランの花の柱頭を乾燥させたもので、その水溶性の黄橙色の色素は食物の着色用に利用されている。
(4) クローブ(丁字)の主な精油成分はオイゲノールであり、強い芳香と刺激性を有し、防腐作用を呈する。
(5) カレー粉は混合スパイスのひとつであり、その黄色は主にターメリック(うこん)に含まれているグルタミンによる。
185 食品の香りについての記述である。誤っているのはどれか。
(1) 柑橘類や菊科の野菜の香気成分中にはα-リモネンやα-ピネンなどの数種のテルペン類が見いだされている。
(2) リンゴやバナナの香気成分は桂皮アルコールやシトラールなどの高級アルコール類である。
(3) 古米臭はカルボニル化合物のうち、不快臭のするn-ペンタナールやn-ヘキサナールが増加するためといわれている。
(4) 淡水魚や獣肉の匂いはピペリジンが関係するといわれ、鮮度の低下によってδ-アミノ-n-バレリアン酸などを生じて生臭くなる。
(5) 食品の加熱香気(調理香)の主な成分はアミノ酸のストレッカー分解によって生成するアルデヒドやピラゾン類である。
以上、2007.3.16更新
180 油脂及び加工油脂についての記述である。誤っているものの組合せはどれか。
a マーガリンとファットスプレッドは、油脂の性質としてはほとんど同じであるが、水分含量が異なる製品である。
b 硬化油は、植物油や動物油などを水素添加して作られるが、その際、トランス型の脂肪酸の一部がシス型に変化する。
c コーン油は、とうもろこしの胚芽から脂肪分を抽出して作られる植物油であり、構成脂肪酸の中でオレイン酸が最も多い。
d カカオバターは、特殊なトリグリセリド組成をもち、体温に近い30〜36℃でシャープに融ける性質をもつので用途が広い。
(1)aとb (2)bとc (3)cとd (4)aとc (5)bとd
181 食品に関する酵素についての記述である。誤っているのはどれか。
(1) 豆類、卵白などに多く含まれるトリプシンインヒビターは、加熱処理によってその作用が低下する。
(2) α-アミラーゼはβ-アミラーゼよりもでんぷん消化において液化効果が低い。
(3) リポキシゲナーゼは不飽和脂肪酸に酸素を添加してヒドロペルオキシドを生成するので食品の変敗臭の発生に関与する。
(4) パパインはパパイヤに含まれるプロテアーゼで、食肉の軟化剤としても用いられる。
(5) グルコースイソメラーゼは果糖・ぶどう糖液糖やぶどう糖・果糖液糖の製造に用いられる。
182 ビタミンについての記述である。誤っているのはどれか。
(1) ビタミンAは生体内ではエステルの形で多く存在し、有機溶媒によく溶けるが、酸化されやすく、特に光と熱の存在下では一層不安定である。
(2) ビタミンBlは酸性では安定で100℃で2〜3時間の加熱にも耐えるが、中性およびアルカリ性では分解されやすい。
(3) ビタミンB2は光によって分解されやすく、酸性・中性ではルミフラビンに、アルカリ性ではルミクロールに光分解され、後者はクロロホルムに可溶となる。
(4) プロビタミンDには植物性食品由来のエルゴステロールと動物性食品由来の7-デヒドロコレステロールの2つがあり、紫外線照射によってそれぞれD2とD3になる。
(5) ビタミンEにはトコフェロール系列とトコトリエノール系列の2つが存在し、両者ともに抗酸化作用を有する。
以上、2007.3.14更新
今回から、9回に入った。益々、繰り返し出題される問題や、あやふやあるいは?問題が多くなるので、
各位で、適切に対処されたい(^_^)ノ"" 2007.3.12
178 食品中の水分についての記述である。誤っているのはどれか。
(1) 食品の水分の測定は、一般に食品を105℃で恒量となるまで乾燥し、乾燥の前後の重量差をもって推定する方法が用いられている。
(2) 結合水は、食品の成分と結合した、いわゆる自由に運動のできない水で、0℃で凍結せず、100℃で蒸発しない。
(3) 食品の水分活性は、食品の蒸気圧(P)を純水の蒸気圧(Po)で除して得た値(P/Po)で示される。
(4) ジャム、ゼリーなどの中問水分食品の製造では、食品に多価アルコールや砂糖などを加えて水分活性を大にしている。
(5) α化したでんぷんは、水分合量を少なくしておくと、でんぷんのβ化は起りにくい。
179 食物繊維に関する記述である。誤っているのはどれか。
(1) 食物繊維はヒトの消化酵素によって分解し難い食物成分をいうが、腸内細菌によって分解をうける成分は除かれている。
(2) 水溶性食物繊維は水に可溶であるが、アルコールには不溶である。
(3) 血糖の上昇抑制効果は、水溶性食物繊維のほうが不溶性食物繊維よりも高い。
(4) 糞便量は、不溶性食物繊維のほうが水溶性食物繊維よりも多い。
(5) 食物繊維には大腸ガンの発現抑制効果のあることが認められている。