(第19回国家試験)解答と解説

加工4  (2)

(1)加工乳は生乳を主原料とし、牛乳から分離したクリーム、バター、脱脂粉乳などを加えたもので、牛乳

の成分以外のものは加えることができない。(3)生クリームと表示できるのは乳化剤、安定剤が加えられて

いないものである。(4)ナチュラルチーズでは、乳酸菌等の微生物をスターターとして加え、乳酸を生成

させるが、乳酸を加えることはない。 (5)アイスクリーム類は乳固形分、乳脂肪分で分類されている。

加工5  (4)

(1)ごま油は圧搾法で採油し、精製はしない。(2)マーガリンは食用油脂に水などを加えて乳化したものを

練り合わせたものであり、溶けたものは冷却しても元の状態にはもどらない。 (3)油脂の生成中に少量で

はあるが失われる。(5)EPAやDHAは多価不飽和脂肪酸なので空気中ではかなり酸化しやすい。

  

加工2  (2)

(1)じゃがいもの発芽を防止する目的で、放射線を照射することが認められている。国内ではガンマ線照射

が許可されている。(3)紫外線の透過力は低いので積み重なると効果がない。 (4)マイクロ波加熱は電子

レンジによる加熱のことであり、マイクロ波により水分子が振動、摩擦熱が生じ温度が上昇する。だから、

食品の中心部から発熱する。  (5)赤外線も、被加熱物の分子を振動させ、分子振動の摩擦が熱となる。

加工3  (3)

(1)細菌の中には5℃以下でも増殖するものがある。 (2)温度が10℃低下した場合、呼吸量は2分の1〜

3分の1になる。(3)バナナ等の熱帯産果実を冷蔵庫に入れると低音障害で果皮が黒くなる。(4)熟成が進む

とアミノ態窒素が増加し微生物が増殖して腐敗する。(5)リパーゼはトリグリセリドを脂肪酸とグリセロー

ルに加水分解する反応を触媒する酵素で、冷蔵しても酵素反応は少しずつ進む。

  

18  (5)

(1)栄養機能食品は、保健機能食品の一つである。 (2)栄養機能食品は、高齢化、食生活の乱れ等により、

通常の食生活を行なうことが困難な場合等に不足しがちな栄養成分の補給・補完を目的とした、ビタミンや

ミネラルを一定量含む食品である。その形状は、錠剤やカプセルのような通常の食品形態でないものも含ま

れている。 (3)栄養機能食品は、ミネラル類5種類とビタミン類12種類のいずれかについてであり、

分岐鎖アミノ酸(BCAA)はそれに入らない(4)特定保健用食品とは異なり、栄養機能食品は規格基準を満た

していれば、厚生労働省による個別審査を受ける必要はない。

加工1  (5)

(1) 食品を加熱すると水分の蒸発が起こるが、このときの水は自由水である。結合水は食品成分と結合していて、

容易には蒸発しない。(2)殺菌作用があるのは塩素イオンである。 (3)浸透圧は上がる。 (4)酒粕漬けである。 

  

16  (1)

(2)酒税法で、アルコール飲料は1%以上のエタノールを含有するものをいう。 (3)炭酸飲料は水に

二酸化炭素を圧入したもの、およびこれに甘味料、酸味料、フレーバリング(香料など)などを加えた

ものである。 (4)紅茶は、茶葉を蒸らさず、茶葉中の酸化酵素(ポリフェノールオキシダーゼ)の

働きを利用してつくる醗酵茶である。酵素の働きでカテキン類はテアフラビンやテアルビジンに変化

し紅茶の赤色を形成する。

17  (3)

(1)発酵食品の製造に用いられる米こうじは、アミラーゼ活性の高いものがよい。 (2)酢酸菌で

はなく乳酸菌である。 (4)ブルーチーズの製造にはアオカビを、カマンベールチーズの製造にはシ

ロカビをそれぞれ使用する。(3)が分かれば、自動的に4もわかるハズ。(5)醤油の製造には、蒸煮

した大豆、小麦、塩を主原料とする。とうもろこしなど使うハズがない!

  

14  (4)

(1)普通は、IPAではなくEPAと表記する。一般的な飼料を与えた鶏卵からはEPAは検出されない。EPAを多く

含む強化卵は、飼料に魚粉や魚油を配合して生産する。 (2)アビジンは卵白成分である。(3)ホスビチンは

卵黄成分である。(5)オボムチンは、濃厚卵白に多く含まれている繊維状たんぱく質で、卵白の泡の安定性や

濃厚卵自の構造形成;に関わっている。

15  (5)

(1)季節変動が大きいのは水分と脂質である。一般に産卵期の前の季節の魚は脂質含量が高く、この時期をその

魚の「旬」と呼ぶ。(2)一般に養埴魚は天然魚に比べ脂質含量が多い。(3)「冷凍すり身」の原料には、スケトウダ

ラが利用される。(4)甲殼類の殼の主成分はキチンである。キトサンはキチンを脱アセチル化したものである。

  

12  (5)

(1)みつばは日本原産のセリ科の野菜で、キャベツはアブラナ科の野菜である (2)カリフラワーは

花菜類である。(3)たまねぎの主要なにおい成分はジプロピルジスルフイドなどのスルフイド類である。

たまねぎを加熱するとスルフィド類が還元されてプロピルメルカプタン(ショ糖の50倍の甘味)などを

生成し、甘味が増す。 (4)西洋かぼちゃ(生)の炭水化物含量は約20%である。

13  (3)

(1)グアニンはアミノ酸である(2)ハム・ソーセージの桃赤色は、ニトロソミオクロモーゲンによる。

N一ニトロソアミンは発がん性の物質である。こんなものが簡単にできたら困る! (4)全く意味不明の文。

直しようもない。(5)べ一コンの製造には、豚肉のバラ肉部分を使用し、整形、塩漬、燻煙してつくる。

きらに、ショルダーべ一コン(肩肉)、ロースベーコン(ロース肉)、ミドルベーコン(胴肉)、サイドベーコ

ン(半丸枝肉)など使用する部分により分類される。

  

10  (2)

(1)こんにゃくいもの主成分はグルコマンナンで、これはグルコースとマンノースが1:2の割合で結合した多糖類である。

(3)キャッサバに含まれる有害物質はリナマリンという青酸配糖体である。ソラニンはじゃがいもの芽に多く含まれる。

(4)さつまいものでんぷんはβ一アミラーゼで分解されマルトースを生成する。

(5)さといもの皮をむく時に皮膚にかゆみを与えるのは、シュウ酸カルシウムの針状結晶によるものである。

11  (1)

(2)トリプシンインヒビターはたんぱく質分解酵素であるトリプシンに対して阻害作用を示す。生大豆に多く含まれて

いるが、加熱することにより失活する。 (3)大豆のアミノ酸スコアは86である。 (4)大豆とえんどうの炭水化物含量

は、可食部100g当たりそれぞれ28.2g、60.4gで、えんどうのほうが多い。(5)はるさめは、緑豆を原料としている。

  

8  (3)

ストレッカー分解反応は、アミノーカルボニル反応によって生じたα-ジカルボニル化合物とα-アミノ酸が

反応してアミノレダクトン(エナミノール)とアルデヒドを生じる反応である。アミノレダクトンはさらに

脱水、縮合してピラジン類に変化する。アルデヒドやピラジン類は食品を加熱したときに生じる香気成分で

ある。(4)アミノーカルボニル反応によりたんぱく質の栄養価は必ずしも減少しない。(5)還元糖が

加熱されることで生じるフラン化合物が重合して生じる、フラン・ポリマーは甘い香りがする。この反応は

確かに、アミノーカルボニル反応に付随して生じることがあり、教科書には誤記されることもある。従って

この問題は、あいまい解答の余地を残すため、良問とは言いがたい。

9  (5) この手の問題は、設問の箇所に○×を付け、特にどの部分が×かチェックすることが大事!!

小麦粉のグルテンは、グリアジンとグルテニンから形成される。グルテンの網状構造は、グリアジンの

SH結合とグルテニンのS-S結合(ジスルフィド結合)の間で、SH-SS交換反応によりS-S架橋構造をつくること

によって形成される。

  

6  (1)

(1)「相殺現象(効果)」とは、味の異なる物質が共存すると、それぞれの味覚物質の味が低下することをいう。

(2)記載の文章は「対比効果」である。異種の味が同時に存在するとき、一方の味の刺激により他方の味の刺激が

  より強くなることをいう。

(3)同類の味覚物質を混合した場合に、それぞれの味の強さの和以上の強い味を示すことを「相乗効果」という。

(4)先に摂取した味覚物質の影響で、あとに摂取するものの味が変わって感じられる効果を「変調効果」という。

(5)これは「変調効果」の一つの「味覚変換」である。正常な味(酸味)をほかの昧(甘味)に変換させている。

7  (4)

(1)油脂中の遊離脂肪酸の量を示すのは酸価である。新鮮な油では酸価は小さい。

(2)過酸化物価とは、油脂の酸化により生じた過酸化物(ヒドロペルオキシド)の量を示すもので脂質酸化の指標の

 一つである。生成した過酸化物は分解や重合を起こして二次生成物を生じる。過酸化脂質の分解により生成

 するカルボニル化合物(アルデヒドやケトン類)は、カルボニル価で表される。

(3)油脂を構成している脂肪酸の二重結合の数、すなわち不飽和度を示すのはヨウ素価で、不飽和脂肪酸の多い

 油脂はヨウ素価が高い。ヨウ素価は酸化が進むと低下する。(5)記載の数値を示す物性はない。強いて言えば

 乾性油は、自動酸化によって多量体を形成し膜を作るに至る。

  

4  (2)

(1)シュウ酸は体内でカルシウムと結合して不溶性の塩を形成し吸収を阻害する

(3)褐藻類のこんぶ、わかめ、ひじきなどに含まれる多糖類のアルギン酸は、カルシウム塩を加えるとゲル化する。 

(4)Cu、Co、Fe、Ni、Mnなどの遷移金属イオンは、微量で油脂の酸化を著しく促進する。  

(5)にがりの主成分は塩化マグネシウムである。

5  (5)

(1)フルクトースは、β型がα型に比べて約3倍の甘味度を示す。フルクトース溶液の温度を下げるとβ型が増加し、

甘味が増す。

(2)ステビオシドは、キク科植物ステビアの葉に含まれるジテルペン配糖体で、甘味度はスクロースの約100〜250倍

である。(3)アスパルテームは、L一アスパラギン酸とL一フェニルアラニンのメチルエステルが結含した人工甘味料

で、スクロースの約200倍の甘味を持つ。

(4)グリチルリチン(グリチルリチン酸ニナトリウム)は、マメ科の甘草の根に含まれている成分であり、スクロースの

約200〜250倍の甘味がある。みそ、しょうゆに限って使用が認められている。

1  (2)

(1)エネルギー値は、可食部100g中のたんぱく質、脂質および炭水化物の量(g)に各成分別のエネルギー換算係数

を乗じて算出している。適用すべきエネルギー換算係数が明らかでない食品や複数の原材料からなる加工食品の

場合に、アトウォーター係数を用いて算出する。

(3)みそ類は食品群項目の「調味料及び香辛料類」に収載されている。

(4)無機質の成分項目は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅で、別表

にマンガンが収載されている。セレンは含まれていない。

(5)レチノール当量は、β-カロテンの変換率を2分の1、生物学的効力を3分の1として算出されている。

2  (5)

(1)食品中の水には、自由に運動できる自由水と食品成分(たんぱく質や糖質など)に結合した結合水がある。水分

活性は、食品中に含まれる水のうち、微生物の生育や酸化、褐変など化学反応に直接関与することができる自由

水の指標である。

(3)純水の水分活性は1であるが、食品は各種成分を含んでいるので、常に1より低い値となる。

(4)水分活性が低くなると、空気中の酸素に触れやすくなり脂質の酸化は起こりやすくなる。

(5)微生物の増殖に必要な最低の水分活性は、細菌0.9、酵母0.85、カビ0.75で、水分活性が0.65以下ではほとんど

の微生物の増殖が抑制される。

3  (1)

(2)ミロシナーゼは、わさびのシニグリン(辛子油配糖体)からアリルイソチオシアネート(辛味成分)の生成に

関与している。みかん缶詰の白濁防止には、白濁原因物質ヘスペリジンの分解にヘスペリジナーゼが関与している。

(3)インベルターゼは転化糖の製造に関与している。異性化糖は、グルコースイソメラーゼの作用で製造される。

(4)リポキシゲナーゼは脂質酸化に関与している。食品の褐変に関与する酵素はポリフェノールオキシダーゼである。

(5)セルラーゼは、セルロースのβ-1.4結合を切断し、グルコースを生成する。麦芽糖の製造にはアミラーゼが関与

している。

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