恥の認識欠如にピリオドを

 アメリカの死因第一位が、ついにエイズになったと先

日報道していた。一方、あのマジックジョンソンは、五

年のブランクを経て現役に復帰した。当初は、激しく体

をぶつけ合うバスケットというスポーツだけに、現役引

退を余儀なくされた訳だが、復帰したということは所謂

差別や偏見を乗り越え、周りもこれを認めた訳である。

こういったところはいかにもアメリカ、良くも悪くもふ

ところが深いと感じる。日本ではどうか、厚生省は例に

よって事実隠しに終始しているし、第一非加熱製剤に至

った経緯にも極めて不透明なまやかしが感じられる。ど

こかの教授の不可解な指導(?)によって、密室で決定

された挙げ句、何人が死亡したことか。そして、その責

任の取り方において最近の日本には潔さを感じない。腹

切りよろしく、一人かそこらの首のすげ替えで良しとし

ている。この風潮は、政治家が蔓延させたものか。辞め

れば済むという問題ではない。住専しかりエイズしかり。

アメリカならば裁判沙汰、そして財産没収から社会的地

位剥奪に至るだろう。それだけの覚悟をもって決定し、

為政をしてもらわねば国民は浮かばれない。日本には、

立派な「恥の文化」がある。恥ずかしいという認識の欠

如に、いいかげんピリオドを打って欲しいものだ。

1996.3.6 長崎新聞

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