ブラックボックス

  

 携帯電話の契約が増え過ぎて、想定した電話番号が

不足となり遂に一桁増えるらしい。また、電子メール

のやりとりの中では「ホームページを見たよ」という

四半世紀も会っていない高校や大学時代の友人からの

メールも受け取る。一瞬、タイムワープの世界だ。あ

たかも同窓会に行った時に自分の年齢を自覚してしま

うのに似ている。

 世の中も便利になったものだ。ついてゆくのに疲れ

るほどだが、使い始めるとこれはやみつきだ。しかし、

相変わらずのブラックボックスというか、ますますわ

からない。使ってはいるが、本当のところはわかって

いないから、一端調子が狂うともうお手上げ。これは

電気屋さんや販売店でも同様らしく、故障しても修理

できないことが多い。

 一方、政界では型通りの勢力争いの挙げ句、自民党

が自由党と組むらしい。政界のありようも庶民からす

れば完全にブラックボックスだ。中身がさっぱりわか

らない。世の中が不景気なのに、それに関係なく元気

がいいのは、まだよく事情がわかっていない若者と、

もはや功なり名遂げた政治家や高級官僚だけかもしれ

ない。

 鉄腕アトムが飛ぶような輝かしい新世紀にはならな

いのだろうか。