体誰が通るのだろう。瀬戸大橋の二の舞にならねばよい
が、と思ってしまう。諌早湾干拓も同様、そもそも事業
目的が二転三転するようでは、作ることが目的としか思
えない。はじめに公共事業ありき、では大きな禍根を残
すだけではないか。東京湾横断道路でいうと、開通当初
一日三万三千台、二十年後には六万四千台通過しないと
採算しないというが、とらぬ狸の皮算用であろう。名称
だけをアクアラインなどと横文字にしても果たしてどう
であろうか。採算性を無視して「民間活力導入」などと
いわれたら民間が、いや国民が迷惑である。いったいに
走り出した計画にストップをかけるのは、走り出すより
も数段難しい。かつて、計画ストップを公約に掲げて実
施した政治家は、青島東京都知事しか思いつかないが、
喧々囂々の非難(特に東京都官僚から)はあったものの
中止して良かったのではないか。巨額の公共事業には、
何らかの不透明な部分がつきまとうのが常であり、大体
そのツケは国民に回される。なんのための公共事業か、
明確でなければ中止するという英断も、政治家たるもの
もって頂きたいものである。
平成9年4月22日長崎新聞掲載