「食と栄養」ワンポイント講座7

骨粗鬆症

骨は、以前ここで書いた動的代謝のまさに代表のような器官である。主成分のリン酸カ

ルシウムは、常に生成と破壊が繰り返されている。バックボーンとしての役割とともに、

血液へのカルシウムの供給という貯金ならぬ貯骨の使命が大変大きい。その骨は、閉経

に伴って女性ホルモンが急激に低下すると、破骨細胞の働きに骨芽細胞の働きが追いつ

かなくなる。つまり女性は要注意!性ホルモン産生の低下のほかに、年をとると骨芽細

胞の働きが弱くなる。また、腎臓の働きも低下するため活性型ビタミンDがつくられに

くくなったり、食事の量が少なくなったりするため、カルシウムの吸収量が低下する。

つまり男も大丈夫という訳ではない。食生活の変化に応じて乳製品をとっていなかっ

たり偏食して栄養バランスが偏ったりすると、食物からカルシウムなどが十分にとれな

くなる。吸収ということでは、牛乳を飲めない乳糖不対症のヒトにはチーズが良いが、

プロセスチーズにはたっぷりと結着材としてリン酸が使われており、これも要注意。

リンの摂取が多すぎるとカルシウムの吸収量が低下する。冷凍食品にも結構リン酸が使

われている。そういった場合は腸内細菌のためにもヨーグルトを食べると良い。そして

負荷。適度な運動で骨に刺激を与えると骨は丈夫になる。逆に運動しなくなると骨はだ

んだん弱くなってゆく。また日光に当たると皮下でビタミンDが合成される。ビタミン

Dは腸からカルシウムを吸収するために必要な物質である。骨粗鬆症になるとなかなか

辛いよ。今は亡き義母は晩年はこれに苦しめられた。。     20170815

    

炭水化物(糖質)摂取の意義

0.5%。ヒトの体内に存在する炭水化物の量である。えっ?と思いませんか。摂取する

量は、少なくとも10%あるいは数十%というヒトもいるだろう。では、摂ったそれらの

炭水化物はいったいどこにいってしまうのか?生きるためのエネルギーに変えられるの

である。一番使われるのは大脳。脳は大量の糖質を必要とする。また、マラソンなど長

距離を走る選手は、走っている最中に腹が減るらしい。息子は会社に入って始めたマラ

ソンだが2時間40分くらいの速さで走る。それだけになるには大変な練習を要するが、

そういう際にも、もちろん本番でも非常に腹が減るらしい。受験勉強などの頭脳を使う

ヒトや長距離を走るヒトは、特に糖質摂取には気をつけましょう。ダイエットで糖質制

限をするなどは、あまり推奨できないかな。    20170805

    

トロはなぜ美味しいか?

江戸っ子はマグロと言えば赤身。その昔は白いトロの部分は捨てられていたらしい。でも

今、トロは美味しさと同時に高さの代名詞のような部位。そもそもトロはなぜ美味しいの

か?明確な答えは実はない訳だが、たっぷりと脂を含むため口どけの良さがまずあるよう

だ。脂そのものには5原味のどれにも該当しないが、脂肪酸にはうま味や甘味を増強する働

きもあるようだ。そういったことが複合されて、うまい!のだろう。また、ビールがうま

いのは口や喉の粘膜を通して様々な味や温度や触感の複合感覚として美味が感じられる。

生ぬるいビールを匙で舐めてみると苦いだけでうまくも何ともない。赤ワインがうまいの

は、含まれるポリフェノールの渋みと考えられている。ことほど左様に、うまさの世界は

複雑怪奇だし感じ方も千差万別。老若男女の差も歴然としてあるし、自分がうまいと思え

ばうまいのである!トロと冷えたビールで乾杯(ノ^^)ノ 20170731

  

牛の主食は草

ヒトは雑食で牛は基本的には草のみを食べる。人が一日30品目を食べよう!というのに

対して、牛さんは哺乳類だから生命の誕生以後の数か月から1年は乳としてもそれ以後

は一貫して草である。しかし、草の主成分はセルロース。グルコースの集合体であっ

ても、ヒトは当然として牛にも消化することはできない。セルラーゼがないからである。

ではなぜ?腸内細菌の力なのである。牛の体内に住む膨大な腸内細菌たちが草のセルロ

ースを分解してグルコースにしてくれ、それを牛さんは拝借して生きている。さらに、

草には牛の巨体を維持できるほどのタンパク質はない。でも牛は巨体であり筋肉のかた

まり。ではなぜ?これも腸内細菌の力。牛さんが呼吸した気体中の窒素を腸内細菌が固

定してタンパク質に変えてくれ、これまた牛さんは拝借している。ヒトにもかなりの量

の腸内細菌(腸内フローラ)がいるが、そういった機能は残念ながら果たしていない。

ゆえに人は一日30品目必要なのである。やっぱり、好き嫌いせずいろんなものを食べる

ことにしましょう!  20170723

  

生命とうんちの話

ヒトはなぜ食べないといけないのか?食べないと死ぬから。当然のことだが、少し栄養

学的に考えると,生物が生きているかぎり,栄養学的要求とは無関係に生体高分子も低分

子代謝物質もともに変化して止まることはない。つまり生命とは代謝の持続的変化であ

り、この変化こそが生命の真の姿である。専門的な言葉を使うと、生命とは動的平衡に

ある流れである!簡単に言えば、今日の君は昨日の君ではなく明日の君もまた然り。

ところで、食べた結果としてのうんちの構成を見ると水分が約80%で、食べカス,腸内

細菌や死がい,腸の粘膜などが約20%となる。うんちのかなりの部分は水分でできてお

り、この水分の量によって便の柔らかさは変わる。便の色は胆汁の消化液由来。便秘の

ときの水分量は70%をきり下痢の場合は90%以上になる。うんちを見るとだいたいの健

康状態がわかる。快食快便は健康の元。腸内細菌の餌は食物繊維。日本人は欧米人より

も小さいが腸は倍近く長い! 欧米化の食事は根本的には日本人には適さない。農耕民族

としての体は、昨今の食の変化には適応できない。基本的には野菜等の植物(食物繊維,

細胞壁)を食べるのに適した腸なのである。自分のうんちを見て自分に適した食事を考

えましょう!           20170719

  

熱中症予防で塩分摂りすぎ!

夏になると、日常生活においてもかなり汗をかく。その結果、水分と無機質が出る!

ということで、過剰に塩分を摂る傾向になっているようだ。高温多湿の屋内外で30分を

超える長時間の労働やスポーツなどにより汗を大量にかくと体内の水分とともに塩分や

ミネラルも奪われてしまう。そこに水分補給だけを行うと、体や血液中の塩分・ミネラ

ル濃度が低くなり、様々な熱中症の症状が出現する。まさにその通りだが、一方で日本

人は普段の食事で十分に塩分を摂取しているので,日常生活で汗をかいた程度ではさら

に塩分を補給する必要性は低い。厚生労働省では1日の塩の摂取量を成人男性は8g未

満、成人女性は7g未満、世界保健機関(WHO)では5g未満を推奨している。では実

際はどれくらい塩分をとっているのかというと、日本人の平均摂取量は1日11g〜12g。

十二分に摂っているいや摂り過ぎである。例外的に、屋外で激しい運動や作業をしてい

る場合等に限り,水分とともに塩分やミネラルを摂る必要がある訳であり、普通の生活

において,麦茶などは十分に飲むべきだが、余分に梅干しやら塩分を摂るべきではない。

スポーツドリンクなどには結構な糖分が含まれておりこれも注意すべき。塩分の摂り過

ぎは高血圧など諸悪の根源。過ぎたるは及ばざるがごとし!  20170711

  

酵素を食べて健康になる?

酵素というのはタンパク質である。肉や魚や大豆と同じ。口から食べたら肉であろうが

酵素であろうが胃などで消化されてアミノ酸まで分解されて吸収される。つまり、テレ

ビなどで宣伝するような酵素効果がホントにあるの?と思う。玉ねぎには確かに血栓融

解酵素が多い。が食べてその効果が発揮されることはたぶんない。まあ、アミノ酸まで

分解された後それらのアミノ酸から元の血栓融解酵素が再構築されるかもしれないが、

少なくともそのままということはなかろう。酵素を食べて健康になったとすれば、酵素

の持つタンパク質が栄養素になっただけといういわば思い込み効果だと思う。水素水な

どというものも一緒だが、ことほど左様に胡散臭い商品が世に溢れている。騙されない

ようにしましょう!     20170701

  

久しく加筆していなかった。せっかく食や栄養についていろんな場所で教えているので、

ここでもまた復活させることにした。食生活の参考にして下さい(ノ^^)ノ 20170628

  

ビタミンについて

ビタミンというのは、人の体内で作る事が出来ないためどうしても摂取しなければなら

ない微量の有機物質というのが定義。不足すると様々な健康不調が発生する。

詳しいことは、その手のキーワードで検索すれば山ほどヒットするが、

要するに、水に溶けるか溶けないかでその挙動が大きく違うということ。水溶性のビ

タミンBおよびCは、体に蓄積されにくいので尿として排泄されやすい。一方脂溶性ビ

タミンは、肝臓などの臓器に蓄積されやすく、逆に摂りすぎの弊害も出て来る。ほかに

も熱や光に強かったり弱かったりなど、数々の特性や機能性があるが、自分の体や体調

と相談しつつ上手に食事から摂るべき。でも、ちょっとくらいならばサプリメントも。

あんまり堅く考えすぎたりすると逆にそれがストレスになる( ¨) ただ、一つだけ注意

点がある。空腹時にビタミンCを摂ると下痢する! これはなかなかきついよ( __)

  

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