役目を終えた特殊法人

 昨年の四月に、東京湾アクアラインを含む公共事業中

止について投書したが、そのアクアラインはいま、開通

後一カ月の通行量が、正月をはさむ繁忙期ですら一日平

均約一万四千台と、開通前に目標としていた二万五千台

の約半分にしかならなかったと報じられていた。まさに

懸念が的中した訳だが、一庶民にも容易に予想できるこ

とが、自民党、日本道路公団、高級官僚にはどうしても

わからないらしい。新幹線問題も同様。膨大な借金をか

かえる国および県に、なおこれを実現させなければなら

ない、明快な解答はいまだ聞いたことがない。我が子、

孫にこのうえ膨大な借金を抱えさせたら、年金も満足に

受給されそうにないこの子たちは、反乱を起こすのでは

ないか。一方では、長崎市の水質データ改ざんなどの信

じられない失態、特殊法人といわれる組織での相変わら

ずの違法行為の数々。大蔵省ほか、官庁の天下り意識な

どの役人気質がどこそこに出たということだろう。先の

日本道路公団を含め、高度成長期に、民間では荷が重す

ぎるということで発足した特殊法人は、とうにその役目

は終了したと思う。行財政改革の第一歩は、特殊法人の

廃止。だが、道はまだまだ遠い。

1998.1.30 長崎新聞掲載