豪雪地域のカマキリは、その年の降雪にあわせるかの
ように、雪の少ない年には低い位置に、多い年は高く卵
を産みつけるらしい。当初は、生物学者も疑問に思い調
べてみたら、これがどうもかなり高い確率で立証された
という。この手のことは実はかなり多い。経験的に結構
思い当たる方も多いのではなかろうか。これに類した研
究をバイオミメティクスといい、生物の持つ優れた特質
に学んで、その機能を人間の生活に取り入れようという
訳である。一方、地球の歴史は四十五億年という。また、
その中で原始的な生物の発生からでも三十五億年。いず
れにしても気の遠くなるような時間である。どちらを基
準にしても、例えばこれを一日に凝縮したとすれば、ヒ
トと呼ばれる生物の誕生は、午後十一時五十七分頃であ
るという。まして、文明と呼ばれ我々が享受している今
の生活は、わずかに最後の数秒である。生物はその間、
営々として、形質を変化させて進化してきた。先の、カ
マキリもその一つ。かたやヒトは、諌早干拓問題、ゴミ
問題、その他環境汚染の数々。一体、地球はいつまでも
つのか。またいつまで住めるのか。時には、地球の一員
であることを一人ひとりが考えたいものだ。
199710.27長崎新聞掲載