その前のパソコンを含めるともう二年になるが、未だに
ブラックボックスである。順調に動いている時は、実に
心地よいが、いったんトラブルがあるとお手上げに近い。
その都度、詳しい人に聞いて解決するが、判ってしまえ
ば、これが実にいまいましく簡単な原因であることが多
い。そして、自分よりも後に始めた人間に対しては、逆
の立場になるのが、当人には失礼だが面白い。しかし、
笑い事ではない。テレビを見ていたら、西暦二千年問題
という深刻な課題が目前だそうである。パソコンソフト
の少し古いタイプは西暦二千年以後を想定しておらず、
それ以後はそのソフトが動かないという。修復というか
うまく動くようにすることはできるが、技術者が不足と
いうのである。最近のシステムエンジニアは、出来合い
のソフトを動かす技術はあっても、先の修復技術が苦手
らしい。そうなると、まさにブラックボックス。中身の
判らない箱そのものだ。なまじ便利さを味わっただけに、
パニックである。根っこの技術をおろそかにはできない
という何よりの事例。判ったような顔で使っているが、
諸刃の刃と心得たいものだ。
平成9年6月18日長崎新聞掲載