納税者意識を強く持とう

 ここ数日の間に急に秋の気配がただよってきた。夏

の間は、暑くてたまらないと思っていても、セミの声

が秋の虫の声に変わるようになると、終わりつつある

夏を懐かしく感じる。汗をかきつつでは、なかなか物

思うことにはつながりにくいが、秋は感傷的にさせる

何かがあるのだろう。

 一方、国会では六千億円という大金を例によって公

的資金として自民党政府が長銀へ投入しようとしてい

るが、野党が何とかこれを中止あるいは情報の開示を

求めている。当然だろう。今までも、何回同じような

ことが繰り返されたことか。後になると「こんな筈で

はなかった、我々も知らされていなかった」。もう、

いいかげんにしてもらいたい。六千億円というと大金

過ぎてぴんとこないが、最近では何やら金銭感覚にも

麻痺してしまったような気さえする。住専への公的資

金投入以降、「景気を回復させるためには仕方ない」

を錦の御旗として、公共事業までもが公然と復活して

いるが、全て血税である。

 秋の感傷にひたるうちに、訳のわからないまま税金

が湯水のように使われたら、困るのは我々国民一人ひ

とりである。納税者としての意識を、もっと強烈に持

つべきではないか。

 9/2長崎新聞「声」掲載文