抜本検討先送りの繰り返し

 またぞろ、金融機関の倒産で公的資金の導入が実施さ

れようとしている。なんの反省も、改善も検討されるこ

となく「仕方がない、抜本検討は次回」が何度繰り返さ

れるのだろうか。いつもいつも後ろ向きの施策ばかりで

は、もう国民はあきれ、諦めるしかない。これでは行政

改革など、夢のまた夢。「火だるまになっても」どころ

か、結局どの省庁も火の粉一つかぶることなく終わって

しまいそうだ。「名前だけ変えて済まそう、いやこの際

焼け太りを!」の官僚の声が聞こえてきそうである。

 倒産した会社、銀行の実態を知るにつれ、これにも、

あきれてしまう。旧経営陣は、己れの利権のみに汲々と

した挙げ句、インサイダー取引きをやったとか、やらぬ

とか。社員のこと株主あるいはお客のことなど、みじん

も考えた形跡すらない。何故、経営責任が問われないの

だろう。路頭に迷う社員は、けなげにも、窓口でお客の

解約や苦情に対しているのに、旧経営者は左うちわでの

海外豪遊の噂も聞こえてくる。いったいこの国はどうな

ってしまったのか、どうなってゆくのか。国民の一人と

して、できることは、これらのことを銘記しておくこと

しかないのだろうか。

199712.1長崎新聞掲載